土着菌ってなに?
土着菌とは、土に生息する土着微生物です。土着微生物は山の頂上付近で低温性糸状菌、中腹では酵母菌、裾野付近では高温性糸状菌、平地の畑では乳酸菌、水田では乳酸菌や細菌等が多いと言われてい ます。場所によって菌数や菌構成割合に影響が大きく、また、季節別には春が乳酸菌、夏は細菌、秋になると酵母菌、冬には糸状菌が多くなる(薄上秀男の説)といわれていてい ます。まだ良く解明されていませんが、自然は自らを豊かにしていくサイクルを持ち合わせていることは確かです。 微生物によってつくり出される大循環の環境を、作物や家畜に同じように与えることが農場の本来の姿です。微生物の積極的な利用は 、健康な作物と家畜を育てるための基本技術に役立つと、私は考えています。
家畜を飼養し、作物を生産していく上で、認識しておかなければならないことは、真実を教えてくれるのは毎日つきあっている作物、家畜及び自然であるということは当然です。しかし、それにもまして教えをうけなければならないのは、自分が栽培・使用している作物・家畜また周囲の環境・自然からである。 これまでの多くの情報や体験によって、いつしか考えを固定してしまう傾向があり、その固定的思考が、生産技術を新たに展開していこうとする障害になることはよく経験する。 植物・家畜・自然から学ぶという姿勢は、陥りやすい固定観念を取り払っていく上で非常に重要である。裏山等毎日の作業現場近くの自然から、そのメカニズムを学び、新しい技術のヒントを得ることが多い。
これまでの化学化・機械化・施設化の「近代農業」は、農業者が自然のメカニズムに目を向けることを忘れさせがちであった。 裏山の森は何億年も前から生息している土着の微生物によって育てられている。このことは、森の中に入って落ち葉を払いのけ、土を掘ってみれば誰でもおよそ想像がつく。化学化された「近代農業」では肥料や土壌の分析値を重視してきた。自然界で働いている土壌微生物に目を向けることが少なかったため、化学肥料と農薬を多用、高地の微生物を大きく減少させ、全体として、いわゆる「地力」を低下させた。 懸命に堆肥づくりをしていた昭和30年代まで以後、化学肥料と農薬の普及は生産者の堆肥作り技術を後退させた。化学肥料も堆肥から化成肥料へ変化した。農薬は殺菌殺虫剤から除草剤へ進んだ。生産者にとって製造方法もわからない化成肥料、農薬及び除草剤を、目前の利益と便利さから積極的に使い・使わされてきた。しかし、近年のアトピーや成人病等の健康不安は、消費者を有機農産物への関心・要求を急速に高めた。このような背景から、これまでの化成肥料や農薬にかわる次の農業資材として種々の微生物が農業市場に登場してきた。 多くの農業研究者は企業が生産した微生物の下請け研究をしている場合が多い。 こういった延長線上では、生産者はこれまで購入してきた化学肥料や農薬に加え、微生物まで購入することになる。 農業が化学肥料や農薬市場に加え、微生物市場としても組み込まれ、技術に対する生産者の主体性はこれまで以上に失われていきつつある。 土着菌は種類・数とも農業者が数えたり分類したり計ったりすることは不可能に近い。しかし、堆肥やボカシ肥を作るとき、肥料の中に手を入れるとどんなに寒い冬でもポカポカと暖かくなり、生きづく生命を肌で感じることはだれにでもできる。地域の自然を創造・浄化している土着微生物を、生産者の実践・体験から出発し、積極的に活用できるよう、生産者自身の主体的技術の確立こそ必要な時である。 土着菌は特別な技術で増殖するものではない。生産者が容易に培養・増殖し、多面的に活用できる。従って、土着菌は農業を市場とする企業者の微生物(コマーシャル菌)にすべきではない。しかしながら、実践が伴わなければ、いつまでもわからない技術である。つまり、実践家の技術である。 我が国では古くから、ミソ、醤油、漬け物、納豆、焼酎、どぶろく、酒等が造られてきた。こういった食品は、以前は大衆技術であった。土着菌はこういった日本古来の食品製造手法を応用し、誰でも増やし・使える微生物である。土着菌を農業生産に生かす技術は、生産者の主体性確立の技術である。 また、これまでに使ってきた化学物質(環境ホルモンを含む)で汚染されている田や畑の土壌を浄化しうるのは、土着菌の農民的活用によってこそ実行性がある。
土着微生物は山の頂上付近で低温性糸状菌、中腹では酵母菌、裾野付近では高温性糸状菌、平地の畑では乳酸菌、水田では乳酸菌や細菌等が多いといわれている。採取する場所は、菌数や菌構成割合に影響が大きいことは確かである。従って、どのような場所で取るのが最も良いかは、重要な研究課題である。また、季節別には春が乳酸菌、夏が細菌、秋になると酵母菌、冬には糸状菌がおおくなる(薄上秀男)といわれている。よく解明されていないが、自然は自らを豊かにしていくサイクルを持ち合わせていることは確かである。微生物によって作り出される大循環の環境を、作物や家畜に与えることが農業の本来的な姿である。微生物の積極的な利用は健康な作物と家畜を育てるための基本技術にならないはずである。
人間の食品では糀、酵母、納豆、乳酸菌が良く使われ、これらの菌は人間の健康上から食品に利用されてきた。従って、大自然の微生物と人間の腸内微生物は不可分なものであることが推測できる。 高齢、偏食及びアルコールの飲みすぎ等は、腸内微生物の状態を変化・低下させ、健康を維持することが困難になることは良く知られ、日常生活でも体験する。一方、植物では化学肥料 等を偏った成分で大量に施したりすると、病気になりやすいことも、だれでも体験する。また、動物に偏った餌を大量にあるいは連続的に給与すると病気になることは、ペットや家畜を飼った ことのある人は体験することである。これらのことから、植物での肥料にしろ、動物での餌にしろ、誤った肥料、飼料、食品は土や腸内の微生物の異常をきたし、発病しやすい生体になることが想像できる。このように考えると、自然の微生物、耕地の微生物、動物の腸内微生物、人間の腸内微生物は、密接不可分・一体的な関係にあるといえる。
植物と動物の栄養摂取上での違いについて考えると、植物は植物体外の土中に伸びた根によって土から栄養をとるのに対して、動物は体内に入り込んでいる腸管によって餌から栄養を とうというように、外見的には大きく異なるように見える。 しかし、先にも述べたように、土の微生物機能の低下は作物の病気を誘発、動物の腸内微生物機能の低下は健康を害する。家畜や人間にとって飼料・食糧 というものは、植物にとっての土壌である。 従って、養分を吸収できる機能性の高い根や丈夫な内蔵をつくり、土壌及び腸内の微生物の活動が良くなるような施肥や給餌・食事をすることは、病気にかかりにくい植物・動物を育てる上で非常に重要である。 このように考えると、植物と動物・人間を共通・一体的にとらえることができる。
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